2024 年 19 巻 3 号 p. 189-193
ヒドロモルフォンは生物学的利用能が小さいことが知られているが,肝機能障害において,ヒドロモルフォンは注射剤から経口剤へ変更する換算比は,確立されているとはいえない.過量投与では呼吸抑制などの重大な副作用を生じる可能性があり,投与量には注意が必要である.今回,肝機能障害を認める患者においてヒドロモルフォンを持続皮下投与から経口徐放性製剤へ変更した際,呼吸抑制を生じた.等力価となる換算比とされる1 : 4の用量で注射剤から経口剤へ変更したが,肝機能障害による生物学的利用能の上昇により呼吸抑制が生じたと考えられた.症例により換算比は大きく変動し,肝機能障害時には,細心の注意を払う必要がある.