Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
在宅医療における用手吸引式急速腹腔穿刺ドレナージ
大屋 清文 福田 暁子佐藤 秀人德谷 理恵浜野 淳横道 直佑石木 寛人小山田 隼佑平本 秀二
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2024 年 19 巻 3 号 p. 163-168

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抄録

症状緩和のための腹腔穿刺ドレナージ時の排液速度については,定まった見解がない.今回われわれは在宅診療の現場で,用手吸引による急速腹腔穿刺ドレナージを明らかな有害事象の出現なく実施しえた3例を経験したので,具体的な実践方法を交えて報告する.症例Aは72歳男性,非代償性肝硬変による腹水貯留の患者.症例Bは73歳男性,膵尾部がん・腹膜播種による悪性腹水の患者.症例Cは54歳男性の膵尾部がん・多発肝転移による悪性腹水の患者であった.排液量は1.4~3 Lで,処置時間は12~14分だった.処置直後・処置2(±1)時間後,処置24時間後の収縮期血圧はいずれの患者も90 mmHgを下回ることはなく,その他明らかな有害事象も指摘されなかった.用手吸引式急速腹腔穿刺ドレナージは患者の長期臥床の負担軽減,処置時間の削減,訪問医の訪問回数の減少につながることが期待できる.今後,本手技の安全性を検証する量的研究が必要である.

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© 2024 日本緩和医療学会

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