2024 年 19 巻 4 号 p. 237-243
【緒言】オピオイド投与中の重篤な過量症状に対し,ナロキソン投与を検討する.しかしがん疼痛治療中のナロキソン投与の実態は明らかでない.【目的】オピオイド過量症状に対しナロキソンを投与された患者の頻度とその関連要因を探索する.【方法】後方視的研究.2014–2022年に当院のオピオイド投与中のがん患者からナロキソン使用例を抽出し,手術や検査・処置後を除外した.使用オピオイドの種類,投与経路,用量とナロキソン投与方法,用量,投与後反応を調べた.【結果】18例(0.10%)が抽出され,ナロキソン投与時のオピオイドは経口モルヒネ換算81.6(21–750)mg/日で,患者状況(重複あり)は,腎機能低下8例,臨床的予後予測週単位7例,オピオイド変更/増量後4/3例だった.【考察】ナロキソン投与症例は腎機能低下や終末期,オピオイド変更/増量後が多く,過量症状出現に注意が必要なリスク因子の可能性がある.