2024 年 19 巻 4 号 p. 269-278
【目的】本研究の目的は,外来通院で化学療法を受けている進行がん患者の自己有用感の様相を明らかにすることである.【方法】20名の患者を対象に,人の役に立つことへの思い,生活状況,役割の変化などについて半構造化面接を実施し質的内容分析を行った.【結果】分析の結果,最終的に自己有用感の様相として5つのテーマ,〔他者への貢献〕〔自他からの承認〕〔存在することに与えられた価値〕〔自立の保持〕〔人生の統合〕が生成された.【結論】外来通院で化学療法を受けている進行がん患者の自己有用感は複雑な様相を呈しており,これは患者が病気の増悪や進行に対峙する中で,自立が脅かされたり,残された時間や死を意識することによるものと示唆された.