Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
オピオイド鎮痛薬を緩徐に減量をしたにもかかわらず退薬症候を生じた慢性がん治療後疼痛の1症例
島田 宣弘 五十嵐 孝稲見 薫黒崎 史朗清水 敦丹波 嘉一郎
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2024 年 19 巻 4 号 p. 293-297

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抄録

症例は60歳の女性.子宮頚がんのがん性疼痛に対し投与されたオキシコドン徐放錠が,がんの治癒後にも放射線腸炎に伴う腹痛や,腸穿孔術後の腸閉塞,便秘症による腹痛に対して継続投与されていた.強い眠気があり,オキシコドン徐放錠をモルヒネ散に切り替えて緩徐に減量した.減量により眠気,便秘,腹痛は改善したが,倦怠感,発汗,焦燥感が出現した.これらはモルヒネ散の内服で改善し,オピオイド鎮痛薬の退薬症候と診断した.4年かけてさらに緩徐に減量を試みたが,モルヒネ散を中止すると退薬症候が出現するため,現在も少量のモルヒネ散を継続している.オピオイド鎮痛薬の不適切使用は厳に慎むべきであるが,オピオイド鎮痛薬の中止までに専門医の注意深い観察のもとでの長期継続を要する場合がある.

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© 2024 日本緩和医療学会

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