2025 年 20 巻 1 号 p. 29-36
本研究は,終末期を見据えた小児がん患者の退院調整の特徴と工夫を明らかにすることを目的に,退院調整に関わった経験を有するスタッフにインタビュー調査を行った.フォーカスグループインタビューを医療ソーシャルワーカー6名,看護師5名の計11名に実施し(応諾率84.6%),質的帰納的分析を行った.終末期を見据えた小児がん患者の退院調整の特徴として【受け入れ可能な在宅医・訪問看護が少ない】,【症例が少なく経験が積み重ならない】など7カテゴリ,工夫として,在宅医・訪問看護との調整,子どもと家族との調整,病院内の調整の三つの調整場面において,【地域とつながりを持ち続ける】など7カテゴリが抽出された.終末期を自宅で過ごす子どもが増えており,今後,地域の情報集約や好事例の共有など小児がん拠点病院の役割拡大を含めて検討が必要だと考える.