【背景】セロトニン症候群の発症には原因薬剤の血中濃度の上昇が関与している.発症のタイミングは薬剤投与量の変更後が一般的だが,薬物動態の変化が発症契機となる可能性が指摘されている.【症例】82歳女性.多発性骨髄腫のため5年前から化学療法を継続中で,CYP(Cytochrome P450)阻害作用を有するフルコナゾールを常用していた.抑うつ症状に対してミルタザピンを開始した約3週間後に腸閉塞を発症し,脱水による急性腎障害をきたした.翌日から高熱,頻脈,意識障害,ミオクローヌスを認めセロトニン症候群を疑った.薬剤中止により症状は速やかに改善した.【結論】セロトニン症候群の発症には原因薬剤の投与量変更以外に,腎機能障害や薬物相互作用による薬物動態の変化が関与しうる.比較的リスクが低い薬剤でも複合要因での発症に注意を要する.