Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
ガバペンチンにより鎮痛が可能であった上位頸椎の骨破壊を伴う多発性骨髄腫の1例
神谷 浩平
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2009 年 4 巻 1 号 p. 301-306

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抄録

がん性疼痛治療において積極的なオピオイドの使用は原則であるが, 重篤な副作用の出現により, 増量が好ましくない場合も存在する. 今回, 上位頸椎原発の多発性骨髄腫による頸髄圧迫があり, オピオイドによる呼吸抑制が疑われるエピソードを持つ症例のがん治療早期からの緩和ケアを担当した. 症例は60歳代の女性. 初診時, 第2頸椎から頭蓋底におよぶ腫瘍により強い項部痛と頭痛を訴え, 塩酸モルヒネの持続静注が行われていたが鎮痛は不十分であった. 患者のモルヒネに対する不安が強かったこと, 神経障害性疼痛の混在が疑われたことから, モルヒネの増量は行わず, ガバペンチン900mg/日より開始し, アミトリプチリンとアセトアミノフェンを併用することで安全かつ有効な鎮痛が得られた. 頸椎浸潤による神経障害性疼痛が疑われる症状に対し, ガバペンチンなどの鎮痛補助薬を早期から併用することが有効と考えられた. Palliat Care Res 2009; 4(1): 301-306

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© 2009 日本緩和医療学会
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