抄録
【背景】当院はがん診療連携拠点病院の緩和ケア病棟として, 開設時から在宅医療機関と相談して地域での役割を模索したが, 現在その役割は「ホスピス機能を有する急性期緩和ケア病棟」と捉えている. 終末期ケア目的の「ホスピス」機能に加え, 早期からの緩和ケアを目的に「第2の家」として, 地域を「地域ホスピス」と捉え, (1)症状緩和, (2)患者家族への意思決定支援, (3)療養場所の調整・移行, (4)療養困難時の支援体制の調整, を行う「急性期緩和ケア病棟」の機能を重視した.【結果】開設3年間で入退院患者数・在宅移行患者数・在宅移行率・在宅死亡患者数・在宅死亡率は増加し, 平均在院日数・PCU再入院率は減少した.【考察】OPTIM-studyでは, 地域の緩和ケアに関わる医療福祉従事者が「出会う」機会を設定することでその地域の能力を最大化できると述べている3)が, 当地域では, 緩和ケア病棟開設が機会となって在宅医療機関との連携が深まった.