抄録
【目的】遺族による緩和ケアの評価に関連する施設要因を明らかにすることを目的とした. 【方法】全国の緩和ケア病棟で死亡したがん患者の遺族9,684名を対象に, 郵送による自記式調査と施設背景調査を行った. ケアの構造・プロセスの評価としてCare Evaluation Scale, ケアに対する全般的満足度, 患者の終末期のQOLの評価としてGood Death Inventoryを用い, 施設背景との関連を明らかにするため, 単変量および多変量解析を行った.【結果】有効回答は5,810 (60%)で, 解析の結果, 有意(p<0.05)となった施設背景は, 全室個室, 院内または完全独立型病棟, 緩和ケア医師が当直をする, 1床あたりの深夜勤看護師数が0.1人以上, すべての患者の遺族に手紙送付を実施, すべての患者の遺族に遺族会・慰霊祭を実施, 宗教的背景をもつ, であった.【結論】遺族による緩和ケアの質の評価に影響する緩和ケア病棟の施設要因が示された.