Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
原著
緩和ケア病棟における, セフトリアキソンの皮下点滴使用と奏功率
小田切 拓也山内 敏宏白土 明美今井 堅吾鄭 陽森田 達也井上 聡
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2014 年 9 巻 4 号 p. 121-124

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抄録

セフトリアキソンは, 1日1回の点滴でよく, 腎不全でも使用可能なため, 皮下点滴が可能ならば終末期がん患者に用いやすい. 2013年1月から2014年1月に聖隷三方原病院ホスピス病棟を退院し, セフトリアキソン皮下点滴を使用した患者を, 後ろ向きに抽出した. 主要評価項目は抗菌薬の奏功率(3日以内の症候の改善)で, 二次的評価項目は刺入部の炎症反応と, 他の抗菌薬の奏功率との比較である. 患者から包括的同意を得た. セフトリアキソン皮下点滴を用いたのは10人(尿路4人, 肺4人, 軟部組織2人), 奏功率は0.70 (95%信頼区間0.39~0.89)だった. 全員, 刺入部位に炎症反応を認めなかった. 他の抗菌薬使用者は16人19回, 奏功率は0.74 (同0.51~0.88)で, 両群の効果はおおむね等しかった. セフトリアキソンの皮下点滴は, 血管確保が困難な終末期がん患者の感染症治療において有用である.

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© 2014 日本緩和医療学会
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