Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
症例報告
地域連携により安全なメサドン処方が可能となった1例
山田 英人松本 禎久木下 寛也川越 正平
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2014 年 9 巻 4 号 p. 519-522

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抄録
メサドンは長時間作用型μオピオイド受容体作動薬であり,NMDA受容体拮抗作用を併せもつため,一般のオピオイドに抵抗性の疼痛に対する効果が期待される.一方で,重大な副作用として,呼吸抑制やQT延長症候群・心室頻拍があり,注意を要する.今回われわれは,入院中にメサドンが導入され,訪問診療中にその増量を行い,安全に鎮痛効果が得られた症例を経験したので報告する.症例は79歳,女性.後腹膜原発平滑筋肉腫の術後に局所再発をきたし,以後,右鼠径部に灼熱感を呈する突出痛が頻回となった.放射線照射後,オキシコドンに加え鎮痛補助薬の併用がなされたが,眠気などの副作用が強く,効果も乏しかった.オキシコドンからメサドンに変更後は,突出痛の頻度は激減した.退院後の処方管理に関して地域内の多職種協働を意識した周到な準備のもとで,退院後の疼痛悪化時には,在宅医療の場においても重篤な副作用を伴うことなく,効果的にメサドンを増量可能だった.
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© 2014 日本緩和医療学会
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