Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
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症例報告
終末期がん患者における消化管出血において,オクトレオチド投与が症状緩和に有効であったと考えられた4症例
工藤 尚子前田 隆司鈴木 梢鄭 陽田中 桂子
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2014 年 9 巻 4 号 p. 523-527

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抄録

【緒言】オクトレオチドは手術適応のない消化管閉塞での症状緩和に広く使用されている.そのほかに,上部消化管血流の減少などの作用から,食道静脈瘤や消化性潰瘍,消化管腫瘍の出血軽減効果が報告されている.われわれは,緩和ケア病棟で臨床的に消化管出血と診断された終末期がん患者に対し,オクトレオチド(300μg/日)が出血による症状を緩和した可能性がある4症例を経験した.【症例】症例1:75歳女性,胃がん,黒色便に対しオクトレオチドを使用した.投与中止後,吐血と黒色便の悪化あり,投与再開後症状は改善した.症例2:87歳女性,胃がん,胃部不快感と胃管の血性排液による視覚的な面からの精神的苦痛あり,オクトレオチド開始後,症状は改善した.症例3,4:76歳胃がん,62歳胆管がんの男性,大量吐血にオクトレオチドを開始後,吐血はなかった.【結論】終末期がん患者の消化管出血において,オクトレオチドの投与は症状を緩和する可能性がある.

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© 2014 日本緩和医療学会
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