主催: 周産期学シンポジウム抄録集
会議名: 周産期学シンポジウム:21 世紀の周産期医療システム:問題点と展望
回次: 21
開催地: 東京都
開催日: 2003/01/17 - 2003/01/18
p. 126-127
今回の学会の午後のシンポジウムはITシステムについての3演題と臨床システムについての3演題の発表を頂き,最後に厚生労働省母子保健課谷口隆課長より行政面からの提案を頂いた。
坂出市立病院産婦人科の久野先生からは,院内に導入した周産期管理システムと関連病院との間での電子カルテシステムと画像管理システムによるネットワークの状況を示して頂いた。厚労省は2006年までに400床以上の病院の80%を電子カルテ化する計画でいるが,それには基準となるものが必要と考えられるが,その範となりえるシステムである。次いで香川大の秋山先生からは,香川県の主要施設をつなぐ周産期情報ネットワークについて報告頂いた。妊検情報のみならず画像情報を含む多くの情報を共有することで,母体搬送にも有効に用いられており,これも今後システム化を考えている他県にとって有用な情報である。島根県立中央病院の加藤先生からは,病院全体の先駆的な電子カルテの導入によるメリット,デメリットについて報告頂いた。詳細は別稿を参照頂くが,電子カルテの有用性の反面,現在の機器の持つ問題点,メーカーを使うことの難しさと維持経費の大きさについても言及され,これらは今後の課題と思われる。この後3題は周産期臨床的システムについての発表である。群馬大の大木先生からは重症度スコアSNAPを用いた臨床成績の評価について報告を頂いた。これは時期が異なった場合での臨床成績を客観的に評価することが可能であるのみならず,各NICUの機能評価にもつながると考えられ,今後多施設での検討が期待される。静岡こども病院の臼倉先生からは産科を持たないNICUが,品胎以上の多胎の出生について地域的なシステムをいかに活用して対応しているかを報告頂いた。各症例の配分の決定や,遠隔地への搬送など並々ならぬご努力が示されたが,54例全例が生存退院という素晴らしい臨床成績の一方で,子ども病院型の産科を持たないNICUの問題点もあり,今後の周産期センターの必要性を示唆された。杏林大学の土屋先生からは東京都の周産期医療システムについて報告を頂いた。東京都には現在総合周産期センターが8施設存在しているが,23区と多摩地区での地域的較差の問題,母体搬送の受入れについて自院の症例が優先され,他院からの搬送依頼がなかなか受け入れられないことなど,システムが充実するにつれて発生してくる問題点が提起され,今後各地域でも検討すべきことと考えられた。最後に厚生労働省母子保健課の谷口隆課長より行政からみた周産期システムについて報告を頂いた。「健やか親子21」においては「安全で快適ないいお産」が提唱されており,その具体化について今後検討,実施されるべきいくつかのことが提案された。討議も活発であり結局谷口課長との討論は終了時間まで続くという結果となった。