主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期の輸血療法をめぐって
回次: 25
開催地: 大阪府
開催日: 2007/01/19 - 2007/01/20
p. 43-48
はじめに
前置胎盤・癒着胎盤は分娩時大量出血の原因となる代表的な疾患である。分娩前後出血・子宮全摘術・輸血・敗血症など周産期合併症を生じるリスクが高く1),厳重な管理を要する。また癒着胎盤は前置胎盤に合併して生じることが多く,特に帝王切開既往のある前置胎盤例では高率に癒着胎盤を発症するとの報告があり2),術前のリスク評価に注意すべきである。近年,帝王切開率が上昇していることを考慮すると癒着胎盤の発症が増加することが危惧されるが,わが国における癒着胎盤に関する大規模疫学報告はない。そこで我々は,名古屋大学とその関連施設における前置癒着胎盤症例を後方視的に調査し,その発症・診断・治療における現状につき検討したので報告する。また,当施設においては出血量を減らす試みとして癒着胎盤に対する計画的な二期的手術を施行しており,詳細につき提示する。