主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:早産重症胎児発育不全 Severe preterm IUGR(IUGR)
回次: 27
開催地: 福島県
開催日: 2009/01/16 - 2009/01/17
p. 43-46
はじめに
新生児における消化管機能障害は,早期の経腸栄養が困難になるばかりでなく,ときに消化管穿孔という重大な合併症を引き起こし,生命予後ならびに長期予後に対する大きな危険因子となる1)。新生児期に消化管機能障害を引き起こす疾患のなかでも,先天性腸閉鎖症といった器質的病変を伴わない疾患としては,細菌感染を原因とする壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis;NEC)がよく知られている。しかし,最近では低出生体重児の出生数の増加傾向とともに,NECを伴わない特発性消化管穿孔や胎便排泄障害に伴う腸閉塞が周産期医療における大きな問題点となってきた。このような背景のもとで,器質的な疾患を伴わず胎便に起因すると考えられる新生児腸閉塞を総称して,胎便関連性腸閉塞(meconium related ileus;MRI)という概念が1995年に窪田らによって提唱された2)。従来,胎便に関連した腸閉塞はmeconium disease,meconium plug syndrome,meconium ileus without mucoviscidosis,small left colon syndromeなどの名称で呼ばれていたが,実際にはそれぞれを区別することは困難であり,最近ではこれらを共通の病態をもった一つの疾患とする認識が広まっている。
一方で,近年その成育限界や長期予後が大きな問題となっている早期重症胎児発育不全(severe preterm FGR(fetal growth restriction))では,出生後に胎便排泄障害がみられることが多く,このことが生命予後だけでなく長期予後にも関与していると報告されている3,4)。しかし,FGR(IUGR)がMRIの発生にどのように関与しているかはいまだ明らかでない点が多い。
そこで今回我々は,極低出生体重児における消化管機能障害として,消化管穿孔ならびにMRIに注目し,これらの病態とFGR(IUGR)との関連について検討した。