主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:胎児,新生児頭蓋内出血
回次: 3
開催地: 東京都
開催日: 1985/01/19
p. 66-71
I はじめに
未熟児•新生児の頭蓋内出血に関しては,リアルタイム超音波断層法や,CTスキャンなどの臨床応用によって,比較的小さな出血巣も診断可能なまでに進歩してきたが,その発症要因や発症病態については未だ不明な点が多く,胎児期も含めた周産期管理上,頭蓋内出血の予防やその治療に関して,明確な方策がつかめないでいるのが現状である。
そこで,本稿では,われわれがこの数年来,胎児および胎児胎盤系の血流計測を行い,その循環動態の解析に用いてきたパルスドプラ法の手法1)を用いて,胎児から末熟児・新生児の脳底動脈の血流計測を行い,脳内循環動態の変動の解析を試みたので紹介する。また,実際に頭蓋内出血を起こした未熟児の脳底動脈血流パターンを観察記録する機会を得たので,頭蓋内出血の発症要因や病態究明の一助となればと思い報告する。