主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:周産期における「遺伝」を考える
回次: 35
開催地: 大阪府
開催日: 2017/02/10 - 2017/02/11
p. 67-72
背景と目的
母体血中への胎児有核細胞の混入していることは,Schmorl Gらが1893年に報告している。その後,100年以上過ぎて,妊婦血液中に胎児DNAが存在して胎児診断が可能であることをLoらは1997年に報告している。2008年ごろに次世代シーケンサーが始まり,多くの遺伝子情報が短時間で解析可能となってきており,母体血液を用いた胎児DNA診断は急速に発展することとなった。
NIPT(non‒invasive prenatal genetic testing)は,2011年に米国で臨床的に胎児診断として始まり,2013年4月より国内で施設登録制度のもとで開始されている1─3)。母体血中における胎児DNA(fetal fraction: FF)の割合は,母体循環におけるcell‒free DNA(cfDNA)の約8~15%と報告されており,その割合は在胎週数が進むにつれて増加する。NIPTの陽性的中率については,妊婦年齢やトリソミーの種類によってばらつきがあり,今回,NIPTにおける妊娠初期のFFについて解析し,臨床データと統計学的に照合解析して,遺伝カウンセリングする上での重要性について評価することを目的とした3)。