主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 5
開催地: 神奈川県
開催日: 1987/01/17
p. 139-148
I はじめに
今日のNICUにおける新生児死亡の主な原因はRDSを伴った極小未熟児,先天奇形,新生児仮死を含む分娩障害などである。先天奇形による死亡はある意味で仕方のないことであり,問題はむしろmedical ethicsの方向にある。新生児仮死については判断のむずかしい症例はあるにせよ,一般的にいえば胎児モニターの普及によって激減してきたといえる。極小未熟児に関していえば,NICUをもつ病院内で出生した症例の予後は著明によくなってきているが,院外から搬送された症例の予後はそれほどよくない。これはperinatal careと分娩から治療開始までの管理の違いなど多因子によるものであろうことは既に発表してきたところである1)が,今回さらに詳しく30週未満の未熟児の短期予後および長期予後について調査し,その予後に影響すると思われる因子を検討したのでこれについて述べる。