主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム:IUGR
回次: 7
開催地: 東京都
開催日: 1989/01/21
p. 115-119
未熟児・新生児は敗血症,低体温,呼吸窮迫症候群,壊死性腸炎などにより容易に血液凝固線溶系に異常をきたし,出血傾向,DIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固症)を発症しやすい1, 2)。ここで母体が重症妊娠中毒症を合併すると,児は胎内発育障害を起こし,血小板減少や出血傾向を伴いやすいことが報告されているが3~5),その病態に関して十分に検討されていない。
一方,血液凝固線溶系における液相の鋭敏な指標であるfibrinopeptide A (FPA), fibrinopeptide Bβ 15-42(FPBβ 15-42), β-thromboglobulin(βTG)は血中に存在すると同時に尿中にも排泄されることより,尿中FPA, FPBβ15-42, βTGは血液凝固線溶系を反映するものと考えられる6~8)。
本論文では,子宮内発育不全児における血液凝固線溶系の病態について未熟児•新生児の尿中FPA, FPBβ15-42, βTG排泄量を測定し,比較検討した。また,血管内皮細胞表面に存在し凝固を抑制するthrombomodulin(TM)の尿中排泄量も同時に測定したので報告する。