周産期学シンポジウム抄録集
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Print ISSN : 1342-0526
第8回
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シンポジウム B:先天性横隔膜ヘルニア
先天性横隔膜ヘルニアにみられる肺低形成の病理学的検討
中村 康寛橋本 武夫福田 清一山本 以和彦
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p. 82-87

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抄録

 はじめに

 肺低形成は不完全な肺の発育と定義されるが,その判定基準としてはまだ確定したものはなく,肺重量,肺重量/体重比,肺容量,DNA定量値,Radial alveolar count,総肺胞数などが指標として使われている1~4)。肺低形成は種々の疾患,たとえば羊水過少,骨格系の奇形などに伴ってみられることが多い5, 6)

 横隔膜ヘルニアの際にも肺低形成は重要な合併症としてしばしば重症の呼吸不全の原因となる。この肺低形成は通常ヘルニア側にみられるが,反対側にも程度の差はあれ,みられることが多い。その特徴として,気管支分岐不全,気管支軟骨の異常,総肺胞数の減少などが報告されているが7~9),肺細葉の発育に関しては異なった見解が報告されている。すなわち,ヘルニア側と反対側とで形態的発育に差がないとするもの10, 11), ヘルニア側で形態的な肺細葉の発育遅延があるとするもの12),形態的のみならず生化学的にも発育遅延があるとするものである13)。そこで,われわれは横隔膜ヘルニアの病理解剖例の肺の発育,主として肺細葉の発育を形態学的および生化学的に検討した。

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© 1990 日本周産期・新生児医学会
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