主催: 一般社団法人日本周産期・新生児医学会
会議名: 周産期学シンポジウム
回次: 8
開催地: 大阪府
開催日: 1990/01/20
p. 89-96
はじめに
新生児外科疾患の治療成績向上には目をみはるものがあるが,その中で先天性横隔膜ヘルニアのみは例外で救命率はいまだに低い状況にある。その主たる要因は本症に随伴する肺低形成であり,高度肺低形成例の治療は困難を極めおのずと救命にも限界があるものと思われる。すなわち肺低形成の程度こそ本症の予後決定因子といっても差し支えないのであるが,本症の肺低形成の本態に関しては必ずしも明確にはされていない1~10)。
肺低形成とは一般に肺容積の小さいこと,気管系および肺動脈の未熟性と理解されており,肺細葉,末梢気腔レベルの未熟性については意見の分かれるところであった。
今回,本症における肺細葉,末梢気腔レベルの組織計測および肺動脈系の三次元再構築を行う機会を得,新たな知見を得たので若干の考察を加え報告したい。