抄録
前額面のアライメントとプラスチックの厚みが異なる4本のシューホーン型短下肢装具を作製し,歩行時の装具の変形量と変形による底屈制動力の変化を計測した.装具の前額面のアライメントが,立脚中期における生体のアライメントより外反する場合に,装具の下腿部に外旋変形が生じる.この外旋変形は,可撓性が高い場合に大きくなり,底屈制動力は減少した.可撓性が低い場合では,外旋変形は減少するが,側方不安定の原因となる足底面の外側接地を確認した.臨床で見られる歩行時の,外旋変形とともに生じる底屈制動力の不足による膝のロッキングは,装具の可撓性や初期背屈角度の問題だけでなく,前額面のアライメントの不適合が要因の1つに挙げられると示唆された.