2016 年 32 巻 3 号 p. 154-159
能動義手や筋電義手は優れた機能性を持っているが,価格,重量,作業性,操作性,装着性などに課題があり,国内の多くの義手ユーザは装飾義手を使用している.この現状を踏まえ筆者らは,軽量·低価格で作業性と操作性に優れた3指電動義手「Finch」を実用化した.把持安定性の高い3指をシンプルな機構で制御することによって,高い作業性を実現し,3Dプリント技術も活用することで,軽量·低価格化を図っている.また,距離センサによる筋隆起検出に基づく操作システムや,容易に着脱可能なサポータソケットなど,操作性や装着性を改善する新しい提案を行っている.本稿ではFinchについて紹介し,福祉機器に3Dプリンタを活用するメリット·デメリットについて考察する.