日本義肢装具学会誌
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症例報告
片麻痺者の歩行解析に基づく,長下肢装具を用いた歩行練習の一考察
溝部 朋文萩原 章由松葉 好子前野 豊山本 澄子
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2017 年 33 巻 2 号 p. 123-126

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抄録

運動麻痺が重度な片麻痺者の歩行練習の過程で,長下肢装具を使用することが多い.短下肢装具へ移行する際,その時期や歩容の悪化がしばしば問題となる.今回,長下肢装具から短下肢装具へ移行した際に歩容が変化した片麻痺者に対し,三次元動作解析を用いて歩行を計測した.長下肢装具使用時,視覚的には歩容は良好であったが,荷重応答期に股関節伸展モーメントが働いていなかった.短下肢装具へ移行後は,荷重応答期ではなく立脚中期に股関節伸展モーメントが働き,円滑な前方への重心移動が難しくなった.歩行機能再建の過程で長下肢装具を使用する際には,歩容だけでなく筋収縮の有無やタイミングを考慮すべきである.

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© 2018 日本義肢装具学会
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