2017 年 33 巻 3 号 p. 151-158
我々は,退院後の装具のメンテナンスや作り替えを専門分野と位置づけ15年に渡り取り組んできた.地域には「歩容の崩れ」,「足部の変形」,「装具の不適合」が多く存在し,今までの知識や技術,考え方では解決できない問題点に気づくことができた.装具について,自宅での未使用などが引き起こす不適合,介護保険非対象者がおかれる状況,老人保健施設における必要性,在宅ケアの実情などの「環境的問題」,および制御力の小さい短下肢装具のリスク,製作の遅れのリスク,装着練習の大切さ,予備の装具の重要性などを整理する.そして現在行っているケアマネジャーやセラピストとの連携や,講演活動によって地域環境に対する直接アプローチを紹介する.