MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)技術により慣性センサは軽量化·小型化され,かつ安価に入手可能となった.慣性センサは加速度,角速度,地磁気,温度等,1つの装置で様々な運動パラメータのセンシングが可能となっている.慣性センサは装着も容易であり,歩行計測を簡便に行える利点がある.加えて,遮蔽物や計測対象ではない者が傍に存在しても,データが途切れることはないという利点もある.歩行動作の空間距離時間因子である,歩幅や歩調(ケイデンス),歩行周期の同定,重心軌跡を精度よく算出できる.慣性センサのデータを分析する際のドリフトや積分による誤差蓄積があることに対しては,いくつかの対処法が考案されている.