2019 年 35 巻 2 号 p. 128-135
本研究の目的は,短下肢装具を必要と捉えるADL場面や求めている役割について,脳卒中による装具使用者と理学療法士の認識の違いを明らかにすることである.質問紙調査を行った結果,装具使用者は座位での動きを伴う動作,理学療法士は移動を伴う動作において高い割合で装具が必要と認識していた.また移動状況別では,屋内歩行自立群において25項目中9項目で認識の違いを認めた.短下肢装具の必要度について認識の違いを認めた屋内歩行自立群や介助歩行·車椅子移動群では,当事者の意向を反映し,より生活上で意味のある装具とするため,座位動作を含むADL場面での使用も考慮した評価が必要であることが示唆された.