日本義肢装具学会誌
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35 巻 , 2 号
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巻頭言
特集 長寿を支える義肢装具・支援機器
特集1 理学療法士のための義肢装具評価
  • 青木 主税, 飯田 修平
    2019 年 35 巻 2 号 p. 92-97
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    近年,下肢装具,特にAFOに関して多くの装具が開発されている.また,脳卒中片麻痺におけるニューロリハビリテーションの重要性が指摘されている.さらに学習理論とロボット技術を応用した新しい装具療法が提案されている状況をふまえて,現状の装具療法をリハ医療の急性期,回復期,生活期に分けて問題点を整理し,今後の課題について論述した.

  • 藪中 良彦
    2019 年 35 巻 2 号 p. 98-103
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    脳性麻痺児の器具や装具を評価するときのポイントは,①粗大運動能力分類システムを使用して将来を見通して今何を行う必要があるかを考えること,②正常発達を目標とするのではなく各子どもの代償動作をより効率的にするために評価すること,③子どもの気持ちに寄り添うこと,④固定ではなく動きを引き出すための安定面(点)を提供すること,⑤重度の脳性麻痺児においては原始反射の影響を評価すること,⑥器具や装具の新しい利用方法について考えながら評価するともに情報を収集すること,⑦F-wordsの枠組みを基におのおのの子どもと家族のことを良く知る努力を行って,真に子ども達と家族の生活と人生に貢献できる器具や装具を作製することである.

  • —知覚連動インサートの効果—
    清水 新悟
    2019 年 35 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    足底挿板療法は,後足部の評価が重要視されている.後足部の評価として回内と回外を誘導することで下腿から大腿へ運動連鎖が起こり,疼痛が軽減する.動的アライメントを簡単にわかりやすく例えると,自転車のチェーンと同じである.自転車のチェーンが外れた状態では,一生懸命ペダルを漕いでも効率よく前に進まない.この状態で長時間使用すると筋や関節に負担がかかり,疼痛が出現する.アライメントが崩れている患者様は,この状態と同じである.このように動的アライメントを整えるのは重要であり,正しい方向へ誘導することで効果が得られる.この効果は,活動量の増加につながり,健康寿命を延ばすことを可能とする.今回は,評価だけでなく知覚連動インサートの研究報告も述べていく.

  • 白銀 暁
    2019 年 35 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    近年,座位保持装置の構成部品は多様化し,その製作においては義肢装具士や部品メーカー,製作担当者らとの協力が不可欠である.そのような中,座位保持装置に関する理学療法士の役割として,「評価」に対する期待が相対的に高まっている.座位保持装置の使用目的は多様であり,それに応じた評価が必要となる.また,エビデンス構築のための「科学的な評価」も求められている.本稿は,これらの背景に基づき,理学療法士が行うべき評価について概説するとともに,それに関連して著者らが取り組んでいる座位姿勢の定量的計測手法,および身体接触面のせん断応力の定量的計測手法の開発研究を,将来,実用化が期待される評価技術として紹介する.

特集2 義肢装具士のための基礎的工学入門
  • 本田 幸夫
    2019 年 35 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    超高齢社会の進展により,介護を必要とする人が増加しているにもかかわらず,介護現場の負担増と人手不足は大きな問題である.このような状況に鑑み,経済産業省,厚生労働省が中心となり,ロボット介護機器の開発·導入促進が進められている.一方,健常者の健康寿命の延伸も大きな課題である.ロボット介護機器の開発では,歩行をアシストするために筋肉をアシストする機器の開発が進んでいるが,使用する人によっては残存能力の低下につながるのではないかという不安もある.そこで,歩行のメカニズムは全身運動であるので,骨盤の回旋を促すことで歩行をアシストできないかと考え試作機を製作し実験を行った.健常な被験者5名による歩行実験ではあるが,骨盤回旋角度,歩幅,歩行速度,股関節角度の増加が見られたので報告する.

  • —新規装具開発のコンセプト立案,設計,プロトタイプ製作の過程—
    河島 則天, 原 克幸, 内田 敏一, 小西 哲哉
    2019 年 35 巻 2 号 p. 120-123
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    下肢の運動機能に完全麻痺をもつ脊髄損傷者の使用を想定した長下肢装具は,麻痺状態にある下肢の骨格を活かした体重支持を可能にするために下肢全体を膝伸展位で保持する構造を採るのが一般的である.我々は,従来型の長下肢装具の使用上の制約となる重量や耐久性の問題を炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic,以下,CFRP)の活用により改善し,さらに動力を用いることなく歩行遊脚相の膝関節屈曲-伸展動作を実現することを目標として,新規装具開発を行っている.本稿では,開発装具のコンセプトと設計仕様,これまで試作してきたプロトタイプについて概説し,今後の展望について述べる.

  • 加藤 健治, 相本 啓太, 近藤 和泉
    2019 年 35 巻 2 号 p. 124-127
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    歩行中の視覚情報は,歩行の調整や制御をする上で重要な役割を担っている.近年,バーチャル·リアリティ(Virtual Reality : VR)環境を付与したフィードバック制御型のトレッドミル(Gait Real-time Analysis Interactive Lab : GRAIL)が開発された.GRAIL上では,自動速度調整(Self-paced : SP)モードを用いて,自分自身で調整した歩行速度と連動した視覚情報を獲得することができる.しかしながら,それらの視覚的フローの獲得による歩行の安定性への影響については,まだ明らかになっていない.本研究では,VRを付与したときの歩行安定性への影響を,歩行速度,歩幅,歩隔のばらつきの変化に着目して検討したので報告する.

原著
  • —装具使用者と理学療法士の認識の違いに着目した比較—
    尼子 雅美, 隆島 研吾, 髙木 峰子, 島津 尚子, 斎藤 祐美子
    2019 年 35 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,短下肢装具を必要と捉えるADL場面や求めている役割について,脳卒中による装具使用者と理学療法士の認識の違いを明らかにすることである.質問紙調査を行った結果,装具使用者は座位での動きを伴う動作,理学療法士は移動を伴う動作において高い割合で装具が必要と認識していた.また移動状況別では,屋内歩行自立群において25項目中9項目で認識の違いを認めた.短下肢装具の必要度について認識の違いを認めた屋内歩行自立群や介助歩行·車椅子移動群では,当事者の意向を反映し,より生活上で意味のある装具とするため,座位動作を含むADL場面での使用も考慮した評価が必要であることが示唆された.

  • —兵庫県立リハビリテーション中央病院15年の経験から—
    戸田 光紀, 陳 隆明, 柴田 八衣子, 溝部 二十四, 高見 響
    2019 年 35 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    先天性上肢欠損児において,筋電義手は両手動作の獲得を可能とし活動,参加の機会を広げる有効な手段である.しかし本邦において小児に対する筋電義手はほとんど普及していない.兵庫県立リハビリテーション中央病院では2002年より小児に対し筋電義手訓練を常時提供できる体制を構築し,これまで15年間で70例以上の児に対して継続的に筋電義手訓練を提供してきた.今回,我々は訓練提供開始から15年間の経過をまとめ,当院における小児筋電義手訓練の現状と今後の課題について検討を行ったので報告する.

症例報告
  • 砥上 若菜, 稲本 朱華, 徳岡 博文, 山鹿 眞紀夫, 古閑 博明
    2019 年 35 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    中手骨切断における片側上肢切断の場合,日常生活動作の約80%以上は非切断肢で行えるため,装飾義手を処方することが多いが,どうしても両手操作が必要で手指の把持機能の代償としての調理作業用義手が適応となる症例も存在する.今回中手骨切断患者に対し,作業用義手の適合を行った.また,自在に形状を整え,製作したい形で容易に成形が可能である3Dプリンターを用いて継手を作製し,様々な調理器具の取り付けを可能とした.さらに,耐久性および強度の向上を図ることができ,調理作業を主とした職場復帰に向けた両手操作および30分以上の作業が可能となった.今後も3Dプリンターを利用することで,患者の望む「使える義手」への可能性を大きく広げることが期待できる.

  • —一症例の作業療法経験を通して—
    小林 伸江, 佐藤 洋二, 妹尾 勝利, 井上 桂子
    2019 年 35 巻 2 号 p. 146-149
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    手部切断者の多くは装飾用義手を作製する.その際,仮義手訓練は一般的ではなく,本義手作製までの具体的なアプローチが確立されていないのが現状である.今回,筆者らは,母指が残存した手部切断者に対して早期義肢装着法を実施し,その有効性を検討した.スプリント材で訓練用仮義手を作製し,機能訓練を行った.その結果,つまみ機能の再獲得と外観の補填が可能となった.また仮義手の経験から,装飾面と機能面を兼備した本義手が完成でき,受け渡し直後から物品操作が可能となった.この作業療法経過から,手部切断に対する早期義肢装着法は有効であることが示唆された.

調査報告
  • 繁成 剛
    2019 年 35 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    タイとその周辺諸国を対象としてシーティングの考え方と技術を伝達するため,日本のシーティングエンジニア,医師,理学療法士が中心となりアジア姿勢保持プロジェクト(ASAP)を立ち上げ,2011年からバンコク近隣の肢体不自由児施設や大学において講習会やワークショップを開催してきた.2016年にはタイのセラピストの要望により,強化段ボールとウレタンフォームを使って座位保持装置を製作し,重度障害児に適合させる講習会を実施した.その結果,参加したセラピストから実践的で解りやすい内容であったと高い評価を得た.今後もシーティングの理念と技術を伝達するASAPの活動をタイと近隣諸国に広げる予定である.

講座 義肢・装具関連のリスクマネージメント
  • 坂井 一浩
    2019 年 35 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2019/04/01
    公開日: 2020/04/15
    ジャーナル フリー

    義肢·装具に関連するインシデントの現状を知るために,公的に利用可能な情報源をもとに調査した.このうち,日本医療機能評価機構による医療事故情報データベースで検索された義足関連インシデントは21件,装具使用者の転倒に関する事例は装具に起因しない例も含め62件であった.日本褥瘡学会による医療関連機器圧迫創傷に関する調査では,装具による傷等の有病率が明らかとなっている.このほか,日本義肢協会による「事故対応状況報告書」,NITEによる「事故情報データバンクシステム」では具体的な事故事例が記述されている.義肢·装具インシデントを未然に防ぐために,発生したインシデントの報告とその共有が必要であり,関連学術組織あるいは職能団体による取り組みが必要であると考えられた.

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