2019 年 35 巻 2 号 p. 146-149
手部切断者の多くは装飾用義手を作製する.その際,仮義手訓練は一般的ではなく,本義手作製までの具体的なアプローチが確立されていないのが現状である.今回,筆者らは,母指が残存した手部切断者に対して早期義肢装着法を実施し,その有効性を検討した.スプリント材で訓練用仮義手を作製し,機能訓練を行った.その結果,つまみ機能の再獲得と外観の補填が可能となった.また仮義手の経験から,装飾面と機能面を兼備した本義手が完成でき,受け渡し直後から物品操作が可能となった.この作業療法経過から,手部切断に対する早期義肢装着法は有効であることが示唆された.