2020 年 36 巻 3 号 p. 216-220
脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼に対し,複数の肩装具を装着した際の整復の効果の違いを明らかにすることとした.対象は当院入院中の初発の脳卒中患者のうち麻痺側肩関節に亜脱臼がみられる29名とした.対象の肩峰間骨頭距離(AHI)を非麻痺側肩関節,麻痺側肩関節,そして麻痺側肩関節に各種肩装具を装着した時のそれぞれで測定し比較した.麻痺側肩関節各種装具装着時のAHIは麻痺側肩関節装具非装着時のAHIに比べて有意に短縮していたが,非麻痺側肩関節のAHIに比べて有意に大きかった.また各種肩装具間のAHIに有意な差はみられなかった.脳卒中片麻痺患者に対して肩装具を使用することは効果的であるが,正常の肩関節と同等になるほどの整復の効果は保持しておらず,肩装具を装着するだけでは不十分であることが示唆された.各種肩装具の種類の違いにおいても差はみられていないことからも,日常生活などを考慮して装具を選択する必要があると考えられた.