2023 年 39 巻 1 号 p. 60-67
片側大腿切断者3例を対象とした.2例にNU-FlexSIVソケット(以下,NU)を製作,1例に坐骨収納型ソケット(以下,IRC)を継続使用し6カ月の期間をおいて歩行・バランス能力,ソケット快適性,骨密度,MRIによる股関節周囲組織の解析を施行した.NU1例は疼痛で装着を中止,期間中は主にIRCを装着し,ソケット快適性,骨密度,MRIのみ6カ月後の計測が可能であった.結果として歩行,バランス能力はNU,IRC例で同等であり,快適性はNU例が優れていた.骨密度はNU例で切断側大腿骨頚部骨密度が上昇した一方,他の2例では低下していた.MRIでは,NU例で切断側股関節周囲筋の断面積が増加した一方,他の2例では減少していた.NUは既存のIRCと異なる力学的刺激を大腿骨・筋肉に与え,骨密度や軟部組織組成に影響を及ぼす可能性が示唆された.