女性心身医学
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骨盤底筋運動教室に参加した女性の排尿症状と生活習慣の関係,ならびに相談希望
高植 幸子城田 圭子佐々木 由希中西 唯公櫻井 しのぶ
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2013 年 18 巻 2 号 p. 234-247

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抄録

本研究の目的は,骨盤底筋運動教室に参加した女性参加者の排尿症状ならびに排尿症状と生活習慣の関係,希望する相談窓口を明らかにし,骨盤底筋運動教室に参加する有症女性の支援を検討するための基礎資料を得ることである.地域で行われた骨盤底筋運動教室の参加者のうち,研究に同意の得られた女性271名を対象者とし質問紙調査を実施した.対象者の84.1%が排尿症状を有していた.有症率は昼間頻尿単独が12.9%,夜間頻尿単独が20.3%,昼夜頻尿が45.4%,腹圧性尿失禁単独11.1%,切迫性尿失禁単独10.0%,混合性尿失禁14.0%,尿意切迫感と過活動膀胱の可能性のある対象者は重複しており31.4%であった.相談希望者は37.3%であった.相談窓口の希望は保健センターや保健所46.1%.病院や診療所30.6%,薬局8.9%などであった.汗ばむ程度の運動は腹圧性尿失禁と負の相関を示した.ストレスは昼間排尿回数や尿意切迫感,切迫性尿失禁と正の相関を示した.多重ロジスティック回帰分析の結果,夜間頻尿に影響する生活習慣(χ^2検定;p<0.001)は,飲酒(p<0.05,オッズ比1.593),熟睡(p<0.01,オッズ比1.434),ストレス(p<0.05,オッズ比1.393),加えて年齢(p<0.001,オッズ比4.482)であった.排尿症状の程度と看護職への相談希望の程度は正の相関を示した.治療やケアに関する情報を教室の参加者に提供する保健センターの啓蒙事業は重要であると考えられた.また,医療機関での看護職による相談窓口の開設が有効と考えられた.

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© 2013 一般社団法人 日本女性心身医学会
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