2025 年 30 巻 2 号 p. 227-238
【目的】死産を経験する母親に対して,助産師が既に実施しているケアの実施状況(量的研究;①項目別実施率,②因子構造及び因子別実施率)と,実施すべきと考えるケア(質的研究)を明らかにし,死産を経験する母親が悲しみを乗り越えて,新たな一歩を踏み出せるケアについて検討する.【方法】自記入式質問紙調査を用いた混合研究法.既に実施しているケアについては,20個のケア項目について4件法で調査し,①項目別実施率は20項目の基本統計の算出,②因子別実施率は,20項目を因子分析にかけて因子抽出後,各因子に含まれるケア項目の平均値を算出した.実施すべきと考えるケアは,自由記載を質的帰納的に分析した.所属先の倫理委員会の承認を得た.【結果】1)対象は,周産期医療が充実しているA県の分娩施設に勤務し,同意が得られた助産師67名.回収率54.1%,有効回答率45.2%.2)既に実施しているケアのうち,①項目別実施率は,15項目(75%)が3点以上(3点:行った,4:十分行った)であった.②因子別実施率では,抽出された6因子のうち,[第IV因子:児の死から目を背けることの弊害を理解(実施率:3.50)][第II因子:児を大切な家族の一員として迎い入れ,別れの時を過ごす場の提供と弔いの準備(実施率:3.47)]の実施率が高かった.3)実施すべきケアは,【1.傷ついている母親・家族を医療者がプラスアルファで傷つけない(該当者28名,41.8%)】など7カテゴリーに集約された.【考察】死から目を背けることによる弊害についての理解が,助産師内では浸透してきたが,死産の母親やその家族への啓発は不十分であり,家族内で死の話題を避けることによる家族関係の悪化に対する支援が今後の課題となる.また,継続看護不十分による助産師のジレンマに対しては,フィンクの危機理論などを用いて,職種を超えて,中長期的な支援方法を構築する必要がある.