抄録
アロマセラピーで用いられる純粋植物精製油(以下エッセンシャルオイルと略す)が自律神経にどのように作用するのかサーモグラフィを用いて皮膚表面温度の変化を測定し,検討した.健常な大学生30人(女性15人,男性15人)を対象とし,一定環境の室温において,座位安静後,8分間エッセンシャルオイルを吸入させ,皮膚表面温度を赤外線サーモグラフィにより経時的に測定した.また不定愁訴,CMI,月経周期(月経開始からの週),吸入前後での気分の変化と皮膚表面温度との関連性を検討した.愁訴点数別にみると,女性においては低得点群ではラベンダー臭気吸人中に皮膚表面温度は下降するが,一方高得点群では吸入直後に急激に下降し,その後3℃以上も上昇する不安定な反応がみられた.ゲットウ臭気吸入では男女いずれの群でもやや下降する傾向がみられた.月経周期との関係において,ラベンダー臭気吸入による皮膚表面温度は月経周期1週目は他の月経周期に比べて吸入直後より低下し,吸人後10分間も持続していた.両エッセンシャルオイルの皮膚表面温度の反応は,女性に比べて男性では反応の幅が小さかった.