日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第46回日本植物生理学会年会講演要旨集
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光化学系Iでも一重項酸素は生成する
*山本 英司浦野 泰照梅澤 直樹長野 哲雄浅田 浩二
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p. 639

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抄録
一重項酸素(1O2)は植物の光阻害の原因となる活性酸素の一種であるが、その光阻害のメカニズムを知るため、測定法の確立が不可欠である。1O2と反応し、エンドパーオキシドを形成して蛍光が増加するDPAX(Ex = 505 nm、Em = 525 nm)を用い、葉緑体での1O2生成の測定が可能となった。DPAXの光分解を防ぐため、DPAXの励起にXe-PAMによる492-nm光を、葉緑体作用光に赤色光を用い、光照射中の1O2生成の測定を可能とした。1O2の寿命、拡散距離が短いD2O中でも、1O2生成はH2O中と変わらず、DPAXがチラコイド膜の1O2生成サイトに近接して存在することを確認した。DCMUによってPSIIの電子伝達を阻害すると1O2生成は抑制されたが、PSIへ電子を供給するアスコルビン酸-DCIPを加えると、1O2生成が増加した。作用光として赤外光を照射しても1O2が生成した。1O2は光化学系IIの反応中心でP680*の励起エネルギーが3O2に移動して生成するが、今回、光化学系Iにおいても1O2が生成することを明らかにした。
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© 2005 日本植物生理学会
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