日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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オウレンの液胞におけるベルベリン輸送活性の解析
*大谷 美保子佐藤 文彦矢崎 一史
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p. 243

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抄録
アルカロイドは、植物の二次代謝産物のなかでも生理活性の高い化合物群である。植物の多くはアルカロイドを液胞に蓄積・隔離しており、自らを防御していると考えられる。しかし、アルカロイドの輸送機構に関しては未だ不明な点が多く、輸送活性の生化学的解析が不可欠である。我々はオウレン培養細胞をモデルとして、黄色のイソキノリン系アルカロイドであるベルベリンを液胞に輸送・蓄積する機構の生化学的解析を行った。
まずオウレン培養細胞からミクロソーム画分を調製し、不連続ショ糖密度勾配遠心法を用いて膜分画を行い、液胞膜に富む画分を得た。この膜画分を用いてベルベリン輸送活性の測定系を確立した。3H-標識ベルベリンを用い、液胞膜画分におけるベルベリン輸送実験を行った結果、オウレンの液胞膜におけるベルベリン輸送は、至適pHが7.5であり、かつATPに依存的であることが示された。一方Bafilomycin A1やvanadateなど様々な膜輸送体の阻害剤実験から、オウレンの液胞におけるベルベリンの取り込みはH+-antiporterによることが強く示唆された。現在さらに解析を進めており、それらの結果と併せて報告する。
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© 2003 日本植物生理学会
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