日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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バナデート・トラップ法による植物ABC蛋白質の検出と応用
寺坂 和祥士反 伸和佐藤 文彦真庭 史雄植田 和光*矢崎 一史
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p. 242

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抄録
植物は、そのゲノム中に多数のABC蛋白質遺伝子を有しており、その数はシロイヌナズナで129個と、ショウジョウバエやヒトなどと比べても2倍以上の数になる。これらABC蛋白質の80%は膜蛋白質であり、物質の輸送に関与していると予測されているが、その詳細について明らかにされた例は未だごく僅かしかない。我々は、動物の薬剤排出ポンプであるMDR (multidrug resistance protein) などの解析法として知られる、バナデート・トラッピング技術を植物に初めて適用し、植物細胞においてABC蛋白質を検出することに成功した。今回は二次代謝産物の輸送に関わるABC蛋白質を解析する目的で、アルカロイド生産性のオウレン、及びアキカラマツの培養細胞を用いてバナデート・トラップを行った。その結果、フルサイズのABC蛋白質の分子量領域に、前者においては3本の、後者においては1本のバンドが認められ、その内1種を除いてヒトMDR1と同様の生化学的性質を示すこと明らかとなった。特に後者のバンドは、サイトカイニン添加で誘導され、ベルベリンを基質とすることが示唆された。大会では、酵母などヘテロな系にABC蛋白質を発現させてバナデート・トラップを行った場合の問題点についても討論する。
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© 2003 日本植物生理学会
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