抄録
高等植物の器官形成に伴う維管束形成機構は組織分化やパターン形成における分子メカニズムの解析においてよいモデル系となっている。我々は維管束形成機構に関する新たな知見を得ることを目的として、シロイヌナズナのジーントラップラインを用いたスクリーニングを行っている。ジーントラップラインを用いることで維管束形成に関する遺伝子が推定できると同時に、その候補遺伝子内に挿入されたレポーター遺伝子により突然変異体としての形質を現し生理的機能の解析も容易になると考えている。約47800ラインのジーントラップライン中の染色が確認された2100ラインから維管束でのGUS染色が確認された93ラインを選抜し、ライン化を行った。その中でも特に維管束特異的にGUS染色されるラインや、表現型等から維管束形成時の特定のステージで働くか、あるいは維管束のパターン形成に関わっていると予測されるラインに注目してTAIL-PCR法、および5`-RACE法によりGUS遺伝子の挿入位置を探っている。今回は、維管束特異的に染色されると同時にvan変異体様の維管束の断片化を示すKG09040ライン等における組織学的および分子遺伝学的解析について報告する。