理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 544
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神経系理学療法
学齢期脳性麻痺児におけるリハビリテーションニーズ
*新田 收白坂 史樹
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キーワード: 脳性麻痺, ニーズ, 育児負担
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抄録
【目的】
脳性麻痺児に対する理学療法において児本人および家族のニーズを把握することはプログラム立案において最も重要な事柄となっている.ところで我々は平成12年より障害児者におけるライフサイクルにおける問題点の把握について研究を進めてきた.この中で障害児成育に主に関わる保護者のリハビリテーションプログラムに対する意見はおおむね良好なものであったが.「頻度が不十分」「セラピストによってプログラムが異なる」「通院(通所)が負担に感じられた」「プログラムの効果に疑問が感じられた」といった否定的なものも見られた.我々はこのことの一要因としてプログラムが充分に保護者のニーズを把握し対応したものになっていない可能性があると考えた.そこで本研究では学齢期脳性麻痺児の保護者を対象として,「リハビリテーションニーズ」とこの背景にある要因について分析することとし,これにより今後プログラム立案における指標を得ることを目的とした.
【方法】
調査はS県3校およびT県4校の肢体不自由養護学校に在籍する児童生徒の保護者のうち,同意が得られた267人(児の平均年齢12.25歳(6-18),BI平均得点29.95(sd31.55),保護者の平均年齢41.78歳(27-77))の脳性麻痺児母親に依頼した.調査内容は児の日常生活活動(ADL)自立度,保護者の自覚的健康感,子育てに対する育児負担感の有無およびリハビリテーションに関して以下6項目のニーズの有無とした.なお6項目は先の調査において自由記載欄に多く示された内容をもとに我々が作成した.
【結果と考察】
ニーズについての集計結果を以下に示す.1)より多くの時間リハビリテーションを受けさせたい(65.5%).2)より専門的なリハビリテーションをうけさせたい(75.4%).3)目標設定において意見を聞いてほしい.(66.0%).4)内容を詳しく説明してほしい(67.6%).5)家庭での過ごしかたについて助言がほしい.(66.2%).6)専門職間の連携を密にしてほしい(72.7%).
さらにこれらニーズの有無と児本人および保護者に関する項目との関連性を分析した結果,「4.内容を詳しく説明してほしい」「5.家庭での過ごし方」については児および保護者の年齢との関連性が示され,若年児ではより専門的な情報を必要としている状況が示唆された.また「6.専門職間の連携」はADL自立度との関係が示され,自立度の低い児では専門職の連携が求められていることが示唆された.最後に「1.より多くの時間」「2.より専門的な」の2項目については年齢,ADLとの関連性は示されなかった.ただ保護者の「子育てが報われないと感じる」「生活に余裕がないと感じる」いった育児負担感と関連性が示された.このことはリハビリテーションニーズには児の属性を要因とするものと,むしろ保護者の育児負担感に関連するものとがあることを示唆するものと考えられた,
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© 2004 日本理学療法士協会
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