2024 年 39 巻 3 号 p. 242-246
80代,女性。約2年前から右足底に黒色斑を自覚し,徐々に拡大した。初診時,右足底に径11 mmの半分は黒色調で,半分は鱗屑を伴い褐色調を呈する結節を認めた。悪性黒色腫を疑い,5 mmのマージンで切除生検した。皮膚病理組織学的所見では,核異型の強いメラニン顆粒を有する異型細胞が胞巣を形成しながら真皮へ浸潤性に増殖していた。肉眼上褐色調であった部分では,表皮角化細胞が不規則な胞巣を形成しながら増殖していた。胞巣内の異型細胞はMelan-A陽性,S-100蛋白陽性であった。Pseudoepitheliomatous hyperplasia(PEH)を伴った悪性黒色腫と診断した。5 mmのマージンで追加切除し,右鼠径部センチネルリンパ節生検を行った。PEHは感染症,腫瘍,慢性炎症・刺激などで誘導され,しばしば有棘細胞癌との鑑別が問題となる。悪性黒色腫にPEHを伴うことがあり,臨床像に多様性が生じる可能性を認識しておく必要がある。