動物の循環器
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ISSN-L : 0910-6537
症例報告
Spontaneous Echo Contrast(もやもやエコー)が観察された肥大型心筋症のネコの1例
中宮 英次郎宮川 優一戸田 典子富永 芳信斉藤 るみ住吉 義和高橋 真理徳力 剛前澤 純也三原 貴洋竹村 直行
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2011 年 44 巻 2 号 p. 41-47

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抄録
2歳6カ月齢,去勢オスのノルウェージャン・フォレスト・キャットを各種検査に基づいて肥大型心筋症と診断し,エナラプリルの投与を開始した。第1357病日に左房の高度な拡大が見られたため,ダルテパリン療法を追加した。さらに,第1616病日に左房内に spontaneous echo contrast (SEC) が,そして第2155病日には左心耳内に血栓形成が認められた。本症例は第2229病日に死亡した。SECは拡大した左房内での血液うっ滞により生じ,ヒトでは心房内での血栓形成または血栓塞栓症の危険因子と考えられている。獣医学領域ではSECの臨床的意義に関する記載は極めて限られている。本症例はSECが確認されてから613日間生存したことから,血栓予防療法を含む心不全療法が的確に実施されれば,SECは必ずしも予後不良を示す所見ではないと考えられた。
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© 2011 日本獣医循環器学会
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