日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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哺乳類Na+/胆汁酸輸送体と相同性を持つアイスプラント膜タンパク質cDNAの解析
*大石 真久是枝 普
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p. 625

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抄録
哺乳類のNa+/胆汁酸輸送体(NBT)に対して、アミノ酸レベルで高い相同性もつ遺伝子がシロイヌナズナやイネで見つかっている。それらの機能については未知であるが、昨年度本学会で京都大学の山口らは、NBTホモログと思われる遺伝子の発現が、Flaveria属のC3型種に比べC4型種で高くなっていることを報告した。このことはこのNBTホモログがC4経路と何らかの関係を持つ可能性を示唆している。
我々は、通性多肉植物型酸代謝(CAM)植物アイスプラント(Mesembryanthemum crystallinum)のESTデータベースに、NBTホモログに由来すると思われるESTを複数見い出した。そこで、この遺伝子(McNBT)の全長cDNAを単離しその塩基配列を調べたところ、418アミノ酸残基をコードするORFを持ち、シロイヌナズナで存在するNBTとは72%の相同性が見られた。また、その高次構造を予測すると、8個の膜貫通ドメインと思われる領域が見い出された。さらにC3型とCAM型のアイスプラントの葉と根を用いて、mRNAレベルを半定量的RT-PCR法により調べたところ、CAM化によりMcNBTの葉での発現レベルが大きく上昇した。一方、根ではCAM化と関係なく低いレベルでしか発現していなかった。現在、大腸菌中でこの遺伝子を過剰発現させて、そのタンパク質の機能の解析を進めている。
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© 2003 日本植物生理学会
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