抄録
我々は、樹木の成長・分化や環境適応において、細胞外からの情報の認識に関与すると推定される受容体型プロテインキナーゼに関する研究を行っている。今回、新たにポプラ(Populus nigra var. italica)シュート由来のcDNAライブラリーから、受容体型プロテインキナーゼをコードする約2.7kbpのcDNAをクローニングした。
コードされる予想タンパク質 PnLRK1 (P. nigra leucine-rich repeat receptor kinase 1) は856アミノ酸残基からなり、推定分子量は95kDaである。N末端から、シグナル配列、14個のロイシンリッチリピートを含むドメイン、疎水性の膜貫通ドメイン、C末端側には12のサブドメインからなるプロテインキナーゼ触媒ドメインが存在することから、典型的な受容体型プロテインキナーゼの構造を持つと考えられる。ノーザン解析により、PnLRK1遺伝子は、ポプラの茎、葉、芽で発現していることが確認されたが、根での遺伝子発現は微弱であった。