日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アブラナ科植物の自家不和合性に関与する受容体キナーゼ複合体の解析
*下里 裕子高山 誠司柴 博史岩野 恵蔡 晃植磯貝 彰
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p. 69

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抄録
アブラナ科植物の自家不和合性は、1遺伝子座のS複対立遺伝子によって支配され、花粉と柱頭のS遺伝子の表現型が一致したときに不和合となる。S遺伝子座には、SP11 (塩基性低分子量蛋白質)、SRK (受容体型キナーゼ)、SLG (分泌型糖蛋白質)という3つの多型を示す遺伝子が存在する。これまでに、花粉表層に存在するSP11が柱頭細胞膜上に存在する(同一S遺伝子型の)SRKのリガンドとして機能していること、SRKが約60 kDaのSLG様蛋白質と共にSP11に対する受容体複合体を形成していることを明らかにしてきた。しかし、SLG様蛋白質の実体および受容体複合体の構造は未解明である。
今回、まずSRKおよびSLGによりSP11受容体複合体が再構成されるかを確認するために、異種細胞系(酵母およびCOS-7細胞)を用いSRK及びSRK/SLGを共発現させた。しかし、何れの細胞においても活性型のSP11受容体を得ることは出来なかった。そこで、柱頭細胞膜上のSP11受容体複合体の構成要素を再検討することにした。Biotin標識化SP11を用いて、受容体複合体のアフィニティー精製を行い、SRKおよびSLG様蛋白質が回収されることを確認した。しかし、得られたSLG様蛋白質の分子量は柱頭中に大量に存在する可溶性SLGより大きいことが判明した。現在、このSLG様蛋白質の構造を解析中である。
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© 2003 日本植物生理学会
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