日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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リン欠乏イネの炭素代謝よりみたリン・リサイクル機構
*信濃 卓郎七森 理仁土肥 真理子和崎 淳大崎 満
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p. 699

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抄録
多くの植物は低リン条件に陥った場合に、体内のリンの循環を高めて特に新規生長部位の生長を支えるように適応しようとする能力が発達している。このような体内のリン含有率の制御には活発なリン化合物の分解とその利用が関与していると考え、いくつかの酵素(Ribonuclease, Acid phosphatase)の体内での活性の変化を調査した。また、多くのリン化合物の代謝は炭素代謝系と密接に関連していることから、リンの効率的利用に関わると考えられるTriose phosphate translocator, Phosphoenolpyruvate translocator, Phosphoenolpyruvate carboxylase, Pyruvate kinase, NAD-Glycerol 3-phosphate dehydrogenase, NADP-Glycerol 3-phosphate dehydrogenaseの発現解析をRT-PCR法を用いて調査した。その結果、低リン処理によって無機態のリン含有率が著しく低下し、RNase, APaseの活性が高まった。単糖の含有率が低下する一方でデンプン含有率が高まった。このとき特にPPTの活性が高まったことから、低リン条件下のイネの適応機構において細胞質からクロロプラストへのPEPの取り込みが重要な働きを持っていることが予想された。
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© 2003 日本植物生理学会
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