日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アブラナ科植物の和合・不和合受粉時にリン酸化されるタンパク質の探索
*垣田 満下里 裕子柴 博史岩野 恵蔡 晃植高山 誠司磯貝 彰
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p. 70

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抄録
 自家不和合性は自家受粉を抑制する機構の1つである。アブラナ科植物の自家不和合性反応は、レセプターである柱頭側因子のSRKと、そのリガンド物質である花粉側因子のSP11が関わっていることが知られている。SRKに自己と同系統のSP11が結合すると、SRKはリン酸化し、自家不和合反応を誘起する。しかし、SP11によってSRKに伝えられたシグナルが、その後どのように伝達され、自家不和合反応を誘起するのかについてはほとんどわかっていない。
 そこで、本研究では二次元電気泳動法を用い、自家不和合反応に関わるタンパク質、特にリン酸化タンパク質を見いだすことを目的とし、研究を行った。Brassica rapaの雌しべをアイソトープラベルし、自家受粉後0分、60分、他家受粉後60分の柱頭からタンパク質を抽出し、二次元電気泳動を行い、それぞれ比較した。その結果、自家受粉時に特異的にリン酸化されるタンパク質を1個、他家受粉時に特異的にリン酸化されるタンパク質を2個、見いだした。これらのタンパク質は、アブラナ科植物の自家不和合反応あるいは受粉・受精の過程に関わる重要なタンパク質であることが期待される。また、今回見つかった自家受粉時特異的にリン酸化されるタンパク質は、自家受粉後30分という早期にリン酸化されることも明らかとなった。
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© 2003 日本植物生理学会
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