日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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ラン藻における重金属ストレスタンパク質の発現制御機構の違い
*河本 さつき森田 勇人西山 佳孝林 秀則
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p. 701

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抄録
 重金属ストレスに応答して、Synechococcus sp. PCC 7942では、Zn2+をキレートするメタロチオネインSmtAが発現するのに対し、Synechocystis sp. PCC 6803では、Zn2+トランスポーターであるZiaAが発現する。それぞれの遺伝子発現を制御するリプレッサーであるSmtBとZiaRはともにArsRファミリーに属し、高い相同性を示すが、両者による遺伝子発現制御のレベルには差がある。この違いを解明するために転写制御に関わるシスエレメントの機能を比較した。それぞれのリプレッサーによって認識される塩基配列は相同性のあるinverted repeatを形成しているが、それらがsmtAのプロモーター領域には2つあるのに対し、ziaAのプロモーター領域には1つしかない。それぞれのプロモーター領域を含むDNA断片と、SmtBとの複合体形成をゲルシフト法で解析した結果、タンパク質濃度1×10-7 M以上でsmtAのプロモーター領域とは複合体を4種形成したのに対し、ziaAのプロモーター領域とは2種類の複合体を形成した。このことから、smtAのプロモーター領域に2つのinverted repeatが存在することによって、SmtBはより大きな複合体を形成し、リプレッサー効果を高めていると考えられる。
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© 2003 日本植物生理学会
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