抄録
ポリアミンは微生物から動植物に至るまで広く生体内に存在する生理活性物質である。ポリアミンは古くから、様々な細胞内のプロセスに関与していると考えられてきたが、我々は環境ストレス応答におけるポリアミンの機能について解析を行っている。Arabidopsis
植物中に存在する主なポリアミンはプトレスシン、スペルミジン、スペルミンの3種である。シロイヌナズナゲノム上には10個のポリアミン合成関連遺伝子が存在し、これらのストレス下での発現パターンはストレス誘導性、恒常性、抑制性の3つのパターンに分かれた。これらの遺伝子の中で我々は、自分自身もポリアミンとして働き、また基質としても重要なプトレスシンの合成に関わる律速酵素遺伝子arginine decarboxylase(ADC)に注目し、ADCの組織特異性並びに細胞内局在を解析した。現在adc2ノックアウトミュータントを用いて各種ストレスに対する表現型を観察しており、その進行状況も報告する。