日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集
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アラビノガラクタン-プロテインの糖鎖合成に関わるβ-グルクロン酸転移酵素
*遠藤 真耶丸山 幸直小竹 敬久円谷 陽一
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p. 99

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抄録
 アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)は高等植物の細胞間マトリックスや細胞膜に存在し、器官の分化・成長に伴い、その糖鎖構造が変化する。AGPの糖鎖の基本骨格はβ-3,6-ガラクタンで、側鎖を構成するβ-1,6-結合したGal残基にα-L-Arafやβ-GlcAあるいはβ-4-Me-GlcA等が結合した分岐構造を有している。AGPの糖鎖の生合成の解明を目的としてβ-グルクロン酸転移酵素(GlcATase)の諸性質について解析した。
 ダイコン一次根のミクロソーム画分を酵素源、UDP-[14C]-GlcAを供与体、β-1,3-ガラクタンを受容体として反応を行い酵素活性を求めた。GlcATaseの最適pHは6.0、0.75% Triton-X 100と30 mM MnCl2で活性が促進された。[14C]GlcAの転移生成物をエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼで分解するとGlcA-Gal、GlcA-Gal-Galが生じ、それに続くAspergillus nigerのβ-グルクロニダーゼ[1]処理によりGlcAが検出された。ダイコン成根のAGPは本酵素の受容体としての効率は低いが、予めα-L-アラビノシダーゼとエンド-β-1,6-ガラクタナーゼ[2]で処理してAGPの側鎖を短くするとその受容体の効率が高まった。
[1] Carbohydr. Res., 333 (2001) 27-39
[2] Carbohydr. Res., in press
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© 2003 日本植物生理学会
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